チベット密教法具、ガンター(ティルブ、金剛鈴)。本品は中央に簡易的な補強が見られ、金剛杵下の仏の顔も極度に摩耗し、歴史の中で十分に生きてきたことを物語ります。また、音色から下方の椀部は後に付け替えられたものと推測します。美術品としての完成度とは別にチベット密教の中で生き続けてきた痕が随所にみられる愛しき品です。主に左手に持つガンターは右手に持つヴァジュラ(ドルチェ・ドルジェ/金剛杵)と共に使用します。ガンターの響きは仏を喜ばし、浄化をはかるといわれています。1800-1900年代初期。主材、銅。大きさ約195mm。直径87mm